任意整理による和解をし、現在は返済をしている途中の方から、再びご相談をいただくケースが増えています。

任意整理をする際には、毎月支払い可能な金額での和解契約をします。しかし、長期に渡る返済の途中に、失業や収入の大幅な減少により支払いが困難になることもあります。このようなときには、どんな解決策があるでしょうか?

1.支払い不能な期間が一時的な場合

2.長期に渡って支払える目処が立たない場合

3.誰に相談したら良いのか?

1.支払い不能な期間が一時的な場合

たとえば、今月分の支払いは不可能だが、来月からならまた支払えるという場合にはどうでしょうか。任意整理の和解契約では、ほとんどの場合「延滞額が毎月の支払額の2回分以上となった場合は、当然に期限の利益を喪失する」というような文言が入っています。

「期限の利益を喪失する」とは、それまでのような分割払いではなく、全額を一括払いしなければならないということです。さらに、期限の利益喪失後は、残額について利息を加算して払うとなっている契約書もあります。

この2回分というのは、たとえば支払い月額が1万円だったとすれば、不足金額が2万円以上になった場合のことを指します。仮に約束の支払い日を何度も過ぎているとしても、不足金額が2回分以上にならなければ、契約上は期限の利益を喪失しないことになります。

よって、全く払えない月が2回以上連続するのでなければ、任意整理に基づく返済を継続していくことが第一の選択肢となります。

2.長期に渡って支払える目処が立たない場合

任意整理による支払中に、会社をリストラされたり、病気や怪我で働けなくなったことで、支払いを再開できる目処が全く立たなくなることもあるでしょう。

こういうとき、再び任意整理をすることで、返済条件を変更してもらうことも可能ではあります。しかし、再度の任意整理(再和解)ができるのは、その時点で、月々の返済がおこなえるだけの収入のあることが前提です。

再就職が決まっているとか、近いうちに収入が得られる見込みがあるならば別として、収入が絶たれている状況で再和解を持ちかけても応じてもらうのは難しいでしょう。

任意整理した時点で、貸金業者から新たに借入れをすることはできませんから、ご家族等の援助を受けることもできないのであれば、自己破産、または個人民事再生の申立をすることになります。

一度、任意整理をしたのに、その後、自己破産をするなんてことが許されるのか?と心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、結論から言えば全く問題ありません。

借りたものは何とかして返そうと考えて任意整理を選択したものの、その後の状況の変化により返済が不能になったわけですから、後になって自己破産申立をしても何ら責められることにはならないのです。

裁判所での手続においても、任意整理した後だからといって不利になることは一切無いと考えて良いでしょう。

3.誰に相談したら良いのか?

任意整理中に、その後の支払いが困難であることが明らかになったら、早めに相談するべきです。悩むばかりで支払期日を過ぎてしまえば更に解決が困難になります。

まず相談すべきなのは、任意整理を依頼した司法書士、弁護士でしょう。当事務所でも、以前に任意整理のご依頼をいただいた方についての自己破産申立をすることもありますし、支払いが困難になった場合のご相談にはいつでも応じています。

これは、任意整理の仕方に問題があったわけではなく、任意整理をした後になって経済状況等に変化が生じたのですから、そこで新たな債務整理方法を選択することも当然あり得るわけです。

しかし、任意整理による和解が成立した時点で委任事務は終了するので、その後の相談には乗らないという事務所もあるようです。そのような場合、別の司法書士や弁護士に新たに依頼するしかありません。

債務整理に真摯に取り組んでいる事務所であれば、任意整理中の方からのご依頼だからといって、むげに断るようなことはありません。仮に断られたとすれば、そういう事務所に頼まずに済んで良かったと考えれば良いのです。

ただし、先延ばしにしているうちに、延滞が長期に渡っているようだと問題です。とにかく早めの相談が肝心だといえるでしょう。

松戸の高島司法書士事務所では、任意整理後に支払いが困難になってしまった方からのご相談も承っています。ご相談は予約制ですので、事前にご連絡のうえご相談にお越しください。

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