5年以上前に支払いを停止してしまった消費者金融から、今になっても請求書が届いているとのご相談を多くいただきます。

今回はアイフル株式会社から「通告書」とのタイトルの書面が届きました。「ご入金の確認がとれない場合においては、不本意ではありますが、裁判所の法的手続(支払督促・訴訟・給与差押等強制執行)による解決を検討させて頂きます」などと書かれており、これまでよりも強い調子の文面だったため心配になって相談してみたとのことです。

何とかして支払いを受けるための脅しである可能性もありますが、アイフルなどの消費者金融が実際に裁判手続きを取ってくるのは決して珍しいことはではありません。よって、早かれ遅かれ適切な対応をする必要があると考えられます。

今回は、アイフルからの通知書を例にしていますが、いつ時効が完成するかの判断をするに際しては、他の消費者金融等からの通知書であっても同様に考えることができます(なお、実際にアイフルから送られてきた通告書の例は、この記事の最後に掲載しています)。

1.消滅時効がいつ完成するのかの確認方法について

1-1.最終弁済期日の経過から5年

1-2.約定弁済期日が分からないとき

1-3.債権譲渡日が約定弁済期日に書かれているとき

2.アイフルからの通知書の例

1.消滅時効がいつ完成するのかの確認方法について

消費者金融からの借金については5年間で消滅時効が完成します。この5年間がいつの時点から進行するかというのは、消滅時効の援用が認められるかどうかを判断するうえで極めて重要です。

1-1.最終弁済期日の経過から5年

今回のように債権者(消費者金融等)から通知書が届いている場合には、「最終返済日」、「約定弁済期日」などが書かれているかを確認します。

消滅時効期間の5年は、約定弁済期日が過ぎたときから進行します。つまり、平成15年1月14日が約定弁済期日であったなら、翌日の1月15日から5年間が経過すると消滅時効が完成します。

消滅時効は「権利を行使することができる時」から進行します(民法166条1項)。権利を行使することができる時とは、「支払ってくれと請求することができる時」です。

支払ってくれと請求することができるのは、支払いの約束をしている期日を過ぎた時です。したがって、約定支払期日を過ぎた時から消滅時効期間は進行するわけです。

1-2.約定弁済期日が分からないとき

債権者(消費者金融等)からの通知書に、約定弁済期日が書かれていないときもありますし、書いてあったとしても正しい年月日になっていないこともあるので注意が必要です。

このような通知書に、約定弁済期日として書かれるべき年月日は、その日までに支払うべきだった年月日です。

たとえば、毎月28日までに支払うとの契約だったとします。そして、最後に支払ったのが平成25年5月28日で、次の支払日である6月28日から延滞しているとすれば、約定弁済期日は平成25年6月28日であることになります。

したがって、約定弁済期日が書かれていないとしても、「毎月○日までに支払う」というような契約内容だったとすれば、最後に支払った月の「翌月の支払期日」が、消滅時効の完成を判断するうえでの約定弁済期日であるわけです。

1-3.債権譲渡日が約定弁済期日に書かれているとき

債権者から送られてきた通知書に記載されている約定弁済期日が、誤った解釈により判断された年月日となっていることがあります。とくに債権譲渡を受けたとする債権回収会社などから送られてくる通知書では、そのようなケースが多く見られます。

たとえば、消費者金融等から債権回収会社に対して債権譲渡がおこなわれた年月日を、約定弁済期日として記載している通知書があります。

最後に返済したのが5年以上前なのに、約定弁済期日には債権譲渡がおこなわれたときである、ごく最近の年月日が書かれているような場合です。この約定弁済期日により時効であるかの判断すると、消滅時効は完成していないという結論になってしまいます。

しかしながら、債権譲渡をしたことによって約定弁済期日が変わることはありませんし、それによって消滅時効の成立に影響が出ることもありません。

よって、このような場合であっても、最後に返済したときから5年以上が経過していていれば、消滅時効の援用は問題なく認められます。実際、債権回収会社等によって通知書に書かれている約定弁済期日が正しいというような主張がなされることも無いはずです。

つまり、債権者としても債権譲渡日が「消滅時効の起算点を判断するうえでの約定弁済期日」になると考えているわけではなく、そうであったらいいなという願望のレベルで書いているものだと思われます。そのため、専門家が代理人となって時効援用がなされたときには、それに対して異議を述べることも無いわけです。

2.アイフルからの通知書の例

アイフルから最近送られてきた通知書の例です。レイアウトや枠線の引かれ方などは実物と少し違っていますが、書かれていることは実物通りです。例の中にも注記していますが、差出人の住所はアイフルのものですが、氏名は担当者の個人名となっています。

アイフルとしては個人情報の保護に気を使っているのかもしれませんが、滋賀県草津市の住所から見知らぬ個人名で文書が送られてきたら、中を見ること無く捨ててしまう人もいるでしょう。それで裁判手続きまで進んでしまうことが無いかと少し心配になります。

〒271-0092
千葉県松戸市松戸1176-2
甲野 一郎 様

〒525-8530         
滋賀県草津市西大路町1番1号2F
○○ ○○
※差出人はアイフル株式会社では無く
個人名になっていました。    

通告書

口座番号 1234-012345-001

ご契約者名 甲野 一郎  様

冠省、弊社は、お客様に対し、再三に渡りご返済の請求をして参りましたが、本日現在ご入金の確認が取れておりません。
 早急に下記合計請求金額をご返済頂きますようお願い致します。
 ご入金の確認がとれない場合においては、不本意ではありますが、裁判所の法的手続(支払督促・訴訟・給与差押等強制執行)による解決を検討させて頂きます。
 弊社と致しましては裁判所の法的手続をとる前に解決をしたいので、下記ご連絡期限までにご連絡ください。

問合わせ有効期限 平成30年7月10日

<< 記 >>

【現在の請求内容】< 平成30年6月25日 現在>

合計請求金額 1,000,000円

内訳 元金残高   150,000円

   利息     550,000円

   遅延損害金  300,000円

(貸付の利率(実質年率) 29.200%)

(約定弁済期日  平成15年1月15日)

(基本契約締結日 平成10年1月10日)

(最終貸付日   平成12年1月20日)

最終貸付直後残高  499,800円

(振込先)

振込銀行 みずほ銀行

振込銀行支店 錦糸町支店

振込口座番号 普通口座 1234×××

受取人口座名義人 アイフル株式会社

(連絡先)

アイフル株式会社 担当者 ○○ ○○

カウンセリングセンター2課

〒525-8530

滋賀県草津市西大路町1番1号2F

TEL: 0570-666-×××

※着信先は上記住所となり、着信地までの

通話料金はNTTコミュニケーションズから

の請求となります。

〔繋がらない場合〕TEL: 077-503-××××

受付時間 平日8:00~20:30

※振込でご入金預く際の振込人氏名には、ご契約されているお客様ご本人の氏名に続き、ご自身の生年月日を和暦で入力してください。また、代理人の方が振り込まれる場合は、契約者ご本人の氏名に続き、代理人の方の氏名を連名で入力してください。

◆契約者ご本人の場合/例)昭和42年4月19日生まれ、愛降太郎様・・・『アイフル タロウ420419』

◆代理人の方の場合 /例)契約者:愛降太郎様、代理人:京都花子様・・・『アイフル タロウ ダイリニン キョウト ハナコ』

※《告知》お客様と連絡が取れない場合等、止むを得ずお勤め先にご連絡することもございますのでご了承下さい。

※当社が契約する指定紛争解決機関の名称.日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター

※万が一本伏との行き違いによるご入金の際にはご容赦願います。