任意整理によっては、支払い可能な返済計画が立たない場合、次に検討するべき債務整理方法なのが個人民事再生です。個人民事再生によれば、返済すべき債務が最大で8割減額される可能性があります。

個人民事再生は、現在の債務(借金)総額のうちの一部を支払えば、残りの支払いは免除される手続です。具体的には、現在の総債務のうち、「法律で定められた最低弁済額以上の金額を、原則として3年間で弁済する再生計画」を立て、裁判所からその再生計画案の認可決定を得ます。その後、再生計画に従った弁済を実際に行うことにより、その他の債務の支払いが免除される手続です。

たとえば、借金の額が500万円の場合、最低弁済額はその2割である100万円なので、裁判所から100万円を3年間で返済するとの再生計画案の認可を受け、実際にその支払いを完了できれば、残りの400万円の債務支払いが免除されるのです。

ただし、住宅ローンがあり、住宅資金貸付債権に関する特則を利用する場合の、住宅ローン債務については減額されません。つまり、住宅ローンについては元本・利息を含めて全額を支払うことになります。それでも、住宅ローン以外の債務が80%も減額されるのですから、大幅に支払いが楽になるのに間違いありません。

実際にも、個人民事再生は、住宅ローンがある方が、住宅を維持しながら債務整理をするために利用することが多い手続きですが、任意整理に比べて債務を圧縮する効果が大きいため、住宅ローンが無くても個人民事再生を利用するケースもあります。

このように、任意整理に比べて、絶大な効果を持つ債務整理手段である個人民事再生ですが、利用するためには条件があります。個人民事再生を利用できるのは、継続的または反復して収入を得る見込みがあり、かつ、住宅ローン以外の債務が5,000万円を超えない方とされています。サラリーマンなどの給与所得者はもちろん、個人事業主でも継続的または反復して収入を得る見込みがあるならば利用可能です。

任意整理においても「継続的に(または反復して)収入を得る見込み」があるのでなければ、そもそも返済は不可能なのであり、自己破産を選択するしかないわけです。よって、借りたものはちゃんと返済をしたいが任意整理では金額的に厳しいという方にとって、検討に値することが多いはずです。

個人民事再生を利用するには、他にも検討すべき事項がありますので、手続きの選択にあたっては専門家(弁護士、司法書士)にご相談ください。また、下記の高島司法書士事務所のウェブページにも情報があります。

・個人民事再生
・個人民事再生Q&A

——————————————————————————————————————–
司法書士 高島 一寛
・高島司法書士事務所ホームページ http://www.office-takashima.com/
・債務整理・過払い金返還請求ホームページ http://www.shihoushoshi.jp/
——————————————————————————————————————–