過払い金返還請求権は10年で時効により消滅します。過払い金返還請求権とは「不当利得返還請求権」であり、次のとおり、不当利得返還請求権についての判例があります。

商行為である金銭消費貸借に関し利息制限法所定の制限を超えて支払われた利息・損害金についての不当利得返還請求権の消滅時効期間は10年と解すべきである(最高裁昭和55年01月24日判決)。

それでは、10年の消滅時効期間はいつから始まるのでしょうか?このスタート地点のことを「起算点」といいます。過払い金返還請求権の消滅時効の起算点は「取引が終了した時」です(最高裁平成21年1月22日判決)。

したがって、少なくとも最終取引日(最後に借入、または返済をした日)から10年以内であれば、過払い金返還請求権が時効消滅することはありません。

最終取引日から10年が経っている場合の過払い金返還請求権

更に最終取引日から10年以上が経っていたとしても、過払い金返還請求が可能な場合もあると考えられます。なぜなら、「最終取引日」と「取引終了時」は同じだとは限らないからです。

消費者金融の取引の場合を考えてみます。たとえば、最終取引が返済であり、それにより債務を完済したとします。このときに基本契約を解約していたとすれば、その時点が「取引が終了した時」であると考えられますから、「最終取引日」と同日であることになります。

しかし、たとえばATMから完済したものの解約の手続はせず、カードもそのまま保持していたようなときはどうでしょう。この場合、すぐにまた借入れができる状態なわけですから、取引は終了したといえず、よって消滅時効が進行することもありません。

また、クレジットカードの場合であれば、ローンやキャッシングの残高がゼロになった(完済した)時から10年以上経っていたとしても、クレジットカードを解約していないのであれば、基本契約は継続しています。よって、取引は終了していませんから、消滅時効も進行しないことになります。

ただ、最終取引日から10年が経過している場合、相手方が過払い金返還請求にすんなり応じるとは限りません。また、下級審(簡易裁判所、地方裁判所)の判決でも、最終取引日(完済日)から1年程度の期間が経過している場合、最終取引日の時点で取引が終了していたとするものも多いようです。

過払い金の返還請求権が消滅時効にかかってるかご不明な場合、早めに司法書士・弁護士等の専門家に相談すべきです。迷っている間にも、時効期間は進行します。また、司法書士・弁護士から相手方に通知をすることで時効の期間の進行を停止させることも可能です。

過払い金返還請求について、松戸の高島司法書士事務所にぜひご相談ください。

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消滅時効の援用
 消費者金融からの借金は取引停止から5年間で消滅時効が完成します。
 消滅時効が完成するこということは、つまり返済義務が無くなるということです。

司法書士による債務整理・過払い金請求(千葉県松戸の高島司法書士事務所)