前回のブログ記事にも書きましたが、最近は債務整理の手段として自己破産を選択すべきケースが増えているように感じます。当事務所だけの傾向かもしれませんし、そもそも統計を取れるほどのご依頼件数があるわけではないですが、現在の不況下にあっては必然だとも考えられます。

自己破産を選択する前に

債務整理をする際、まずは任意整理を検討するのが通常です。任意整理によれば、将来利息の免除は受けるとしても、現時点での債務元本は全額を返済するのが通常です。したがって、「借りたものはちゃんと返したい」との考えに沿うものであり、心理的な抵抗感も少ないと考えられます。

しかし、任意整理では、現在の債務元本を、3年(36回)から、最大でも5年(60回)程度で返済するのが通常ですから、債務の額によっては支払いが困難な場合も多いです。さらに最近では、もっと短い分割回数での支払いを求めたり、ときには一括払いでなければ和解に応じないという債権者もあります。

その一方で、現在の雇用情勢においては、働きたくても仕事に就くことができないのも決してまれなケースではありません。借金を返すために頑張って働こうと考えても、それがままならない現実があるわけです。

自己破産と任意整理の違い

そのような状況にあって、任意整理が困難な場合には、自己破産を検討することになります。

なお、任意整理、自己破産以外の債務整理手段として個人民事再生があります。個人民事再生は、住宅ローンを抱えている方が住宅を維持しながら債務整理をするためには大変有効な手段です。しかし、住宅ローンが無いのにもかかわらず、自己破産でなく個人民事再生を選択するべきケースはごく限られると考えられます。

自己破産をして免責が認められると、借金を返済すべき法的責任が消滅します(非免責債権を除く)。裁判所へ自己破産申立をしてから、免責許可決定が出るまでの期間は約3ヶ月(同時破産廃止の場合)ですから、迅速に再スタートを切ることができます。

しかし、自己破産では任意整理と違って、債務元本を含めて一切の支払いを免れる手続であることや、また、自己破産という言葉から受けるイメージや、そこから派生する間違った知識などにより、自己破産することを極端に恐れる方もいらっしゃいます。

もちろん、「頑張って返したい」とのお気持ちは、司法書士として尊重します。しかし、現実として返済が不可能なのであれば、気持ちを切り替えて生活の再建を考えるべきです。そのことを前提として、自己破産することによるデメリットについて述べます。

自己破産のデメリット

自己破産申立により通常考えられるデメリットは下記の3つです。

  1. 自己破産による資格制限を受ける職業がある(主なものは次のとおりです。ただし、免責が確定すれば、そのような制限はなくなります)。
    • 司法書士、弁護士、公認会計士、税理士
    • 後見人、遺言執行者
    • 生命保険募集人および損害保険代理店
    • 宅地建物取引業および主任者
    • 旅行業および取扱主任者、警備員
  2. 官報に掲載される。
  3. 信用情報期間に事故情報が掲載されるので、最低7年間は、クレジットカードを作ったり、ローンを組むことができなくなる。

1に挙げた職業に就いている場合、資格制限を避けるには、自己破産以外の債務整理方法を検討する必要があるかもしれません。しかし、2,3については自己破産を避ける動機にはなり得ないでしょう。

まず、自己破産したことが官報に掲載されるといっても、一般の方が官報を見ていることはまず考えられませんし、これによって不都合が生じるケースはほとんど無いでしょう。つまり、自己破産したことが他人に知られる可能性は極めて低いといえます。

また、信用情報に傷が付く(ブラックリストに載る)のは、任意整理や個人民事再生といった債務整理手続であっても同様ですから、自己破産特有のデメリットではありません。

この他には、自己破産したことが戸籍や住民票に載ったりすることはありませんし、選挙権が失われることも当然ありません。なお、自己破産すると禁治産者になるというようなことを言われる方もいらっしゃいますが、そもそも禁治産者という制度自体が現在は存在しませんので、そのようなことは一切ありません。

繰り返しになりますが、自己破産することのデメリットは通常、上記の3点だと考えられますから、1の資格制限が問題になる職業に就いていない限り、自己破産を避けるべき理由は存在しないはずです。

自己破産のご相談は高島司法書士事務所へ

それでも心配な場合、まずは相談だけのつもりでも結構ですから、司法書士へ相談にお越しください。相談だけでしたら何回でも無料ですし、強引に手続を勧めるようなことも決してありません。

司法書士高島が、松戸に事務所を構えて自己破産等の債務整理手続に取り組み始めてから、来月(平成24年2月)で丸10年が経ちます。豊富な経験と実績を持つ高島司法書士事務所へ、ぜひ安心してご相談ください。