自己破産の申立をする場合、全ての手続が終了するまでにどれくらいの期間がかかるのかは、とても気になるところだと思います。そこで、裁判所に破産申立書を提出してから、免責許可決定が確定するまでの流れについて解説します。

なお、ここで解説しているのは、千葉地方裁判所松戸支部での同時破産廃止の手続についてです。他の裁判所(千葉県内の他の裁判所を含む)ではこれと異なることもあるのでご注意ください。

自己破産の手続にかかる期間(目次)
1.申立前の準備
2.裁判所への自己破産申立
3.破産審問期日
4.破産宣告
5.免責についての意見申述期間
6.免責許可決定
7.免責許可決定の確定

1.申立前の準備

司法書士に自己破産申立(債務整理)のご依頼をいただくと、まずは債権者へ受任通知を送ります。その後、裁判所へ自己破産申し立てするまでには早くとも2,3ヶ月はかかるのが通常です(司法書士報酬の積立に時間がかる場合などは、ご依頼から申立まで半年位かかることもあります)。

ただし、司法書士に依頼した時点で債権者への返済は停止し、督促の連絡も無くなりますので、慌てることなく準備が可能です。自己破産申立ての準備としては、裁判所へ提出する書類の収集や破産免責申立書の作成などを行いますが、全て司法書士がサポートするのでご心配は不要です。

2.裁判所への自己破産申立

裁判所に破産免責申立書、およびその他の提出書類を持参します。裁判所での書類提出や裁判所職員とのやりとりは全て司法書士が行いますが、ご依頼者にも同行していただいているのが通常です。

この日は、破産免責申立書やその他の必要書類を提出した後に、事件受理票を貰い、裁判所費用の納付をするだけで終了ですから時間は30分もかからない思われます。

後日、破産審問の期日(裁判官による面接の日)を決めますが、その電話連絡も書類作成者である司法書士あてに来ます(裁判官との面接の日以外に、申立人本人と裁判所とが直接やり取りをすることは通常ありません)。

また、裁判所から追加書類の提出や、更なる事情説明を求められることもありますが、その文書等による連絡も司法書士宛てに来ます。

3.破産審問期日

自己破産申立の日に決めた破産審問期日に裁判所へ行きます。破産審問期日の日は、申立ての日から1ヶ月程度後の日になるのが通常です。

日時を決めるときは希望を聞いて貰えますが、いったん決めてしまうと原則として変更はできません。ただし、日時を決めてから実際の審問期日まではかなり時間があります。通常は1度だけで済みますから、何とか都合を付けていただくこととなります。

破産審問期日では裁判官による面接を受けます。面接といっても、司法書士に依頼してちゃんとした書類を提出していれば心配は無用ですし、それほど時間もかかりません。

実際にも、当事務所へのご依頼者で審問期日で上手に話ができなかったから、自己破産が認められなかったというようなケースはありません(もしも、1人で面接を受けるのがどうしても難しいと司法書士が判断するときは、弁護士に依頼することをお勧めすることになりますが、今までにそのようなケースは殆どありません)。

4.破産宣告

破産審問期日と同日付で、破産宣告が出ます。本来はここから破産手続がはじまるわけですが、同時破産廃止においては破産手続は行われません。具体的には次のような決定がなされます。

(1) 債務者 A につき、破産手続を開始する。
(2) 本件破産手続を廃止する。

つまり、破産手続が開始した直後に、その破産手続が廃止される(取りやめになる)わけですから、破産手続は行われないということになります。

5.免責についての意見申述期間

破産宣告にとともに、免責についての意見申述期間が定められます。この期間は、「破産手続開始・破産手続廃止及び免責許可申立てに関する意見申述期間」についての官報公告が効力を生じた日から起算して1ヶ月以上とされています。

破産宣告が出てから、官報に上記公告が掲載されるまでに2週間くらいかかります。よって、破産宣告日の2ヶ月くらい後が「免責についての意見申述期間」の期限になるものと思われます。

債権者はこの間に免責についての意見を述べることができますが、個人や仕事上の取引先など貸金業者以外の債権者を除いては、実際に意見が出るケースはほとんどありません。

私自身の経験としては、名前を聞いたこともない消費者金融から免責に反対する意見が出てきたことが1度ありますが、問題なく免責許可が得られています。それ以外には、銀行や貸金業者等から意見が出てきたことは記憶にありません。

6.免責許可決定

「免責についての意見申述期間」を過ぎて、裁判所が免責をするのが相当だと認めた場合に免責許可決定が出ます。通常、免責許可決定が出るのは、免責についての意見申述期間経過から数日後(1週間以内)です。

7.免責許可決定の確定

免責許可決定が出た日から2週間後位に官報公告がされます。さらに公告から2週間後に免責許可決定が確定します。これで自己破産の手続きが完了し、借金の支払い義務が無くなるのです。

自己破産の手続は、法律で定められた期間が経過してから次の手続に進むものが多いので、上記のように時間がかかります。しかし、裁判所へ行くのは、申立時と破産審問期日の2回だけですから、仕事に支障を来すことは少ないと思われます。

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自己破産の申立(松戸の高島司法書士事務所)