過払い金返還請求をしたいとのお問い合わせを良くいただいております。しかし、一口に過払い金返還請求と言っても、支払いが完了している場合(完済後の過払い金返還請求)と、現在も支払中の場合との2通りに分けて考える必要があります。

1.支払いが完了している場合(完済後の過払い金返還請求)

司法書士に完済後の過払い金返還請求の手続をご依頼いただいた場合、まずは、司法書士から相手方(消費者金融、クレジットカード会社)に取引履歴開示請求をします。しばらく後に送られてきた取引履歴に基づき、全ての取引を法定利息で計算し直すことで過払い金の額が判明します。

過払い金額の計算が済んだら司法書士からご連絡し、取引内容や過払い金額をご確認いただきます。その後、相手方に過払い金返還請求を行います。任意の話し合いにより交渉がまとまれば和解契約書を作成し、返金を受けることで手続終了です。もし、話し合いによる任意の解決が困難な場合、過払い金返還請求訴訟を起こすことになります。

なお、利息制限法に定められた利率(10万円を超えて100万円未満の場合は年18%)を超える利息による取引をしていた場合、取引期間の長短に関わらず必ず過払い金が発生していることになります。また、完済後の過払い金返還請求では、そもそも債務が存在しないわけですから債務整理には該当せず、よって個人信用情報機関へ記録されることもなありません。ただ、念を入れるなら完済した後に、ご自身で解約手続をしてから過払い金返還請求をすれば確実です。

高島司法書士事務所では、完済後の過払い金返還請求については、過払い金返還報酬以外の報酬(着手金、基本報酬、減額報酬など)はいただいておりません。したがって、相手方の倒産などの事情により過払い金が返還されなかった場合には、司法書士報酬だけでなく、実費や事務手数料なども含めて費用は一切かかりません。

2.現在も支払中の場合

現在も債務が残っていて支払いを継続中の場合、まずは、司法書士から相手方(債権者)に受任通知(債務整理開始通知)を送ります。受任通知送付からしばらくすると、最初の借入れから全ての取引(借入、返済)が記載された取引履歴が司法書士事務所あてに送られてきます。この取引履歴に記載されている、借入れと返済の全てを法定利息で計算し直すことで、過払い金が発生しているかどうかが分かります。

ここで過払いになっていれば、司法書士から相手方に過払い金返還請求をし、過払い金の返還を求めます。任意の話し合いにより交渉がまとまれば和解契約書を作成し、返金を受けることで手続終了です。もし、話し合いによる任意の解決が困難な場合、過払い金返還請求訴訟を起こすことになります。

一方、法定利息による再計算の結果、過払い金が発生していない、つまり返済すべき債務が残る場合は、その残債務の返済方法についての交渉をすることになります。これは、債務整理のひとつである任意整理の手続となりますから、個人信用情報機関に債務整理したことが記録されてしまうことになります。俗に言う「ブラックリストに載る」状態です。

それを絶対に避けたい場合、司法書士から受任通知を送って取引履歴の開示を受けるのではなく、ご自身で取引履歴の開示請求をする方法があります。業者から送られてきた取引履歴を使って法定利息による再計算を行い、過払いになっていれば過払い金返還請求をし、債務が残っていれば返済を継続するのです。

ただし、ご自分で取引履歴の開示請求をする場合には、その手続き中も返済を続けるのが前提ですから、支払いが苦しい場合には当然使えません。また、個人信用情報機関に情報が載ってしまうといっても、問題は金融機関からの借入が当面できなくなることだけですので、ご自身で事業を営んでいる場合などを除けば、過剰に心配する必要はないかと思います。

よって、現在も借入残高が残っており、過払いになっているかどうか分からない状態であっても、司法書士から受任通知を発送し取引履歴の開示を受けることで、過払い金の有無を調査する場合が多いと言えます。