完済後の過払い請求をしたいのだけど、完済したときにカードや契約書などの関係書類を全て処分してしまったという方も多いでしょう。そのような場合でも、問題なく過払い請求が可能です。

完済後の過払い請求をするには、まずは借り入れをしていた会社から、取引履歴を出してもらう必要があります。この取引履歴の開示請求は司法書士が行いますが、必要な情報は、ご依頼者の住所、氏名、生年月日です。したがって、会員番号やカード番号などが分からなくても問題ありません。

住所に関しては、完済した時点で相手方に届け出ていた住所が分かるようにしておいてください。もし、忘れてしまった場合は、住民票や戸籍附票により調べることもできるので、司法書士にご相談ください。また、旧姓での借り入れのときは、旧姓もお知らせください。

完済後の過払い請求の流れ

完済後の過払い請求を司法書士にご依頼いただく場合の流れは次のとおりです。

1.司法書士との相談

完済後の過払い請求について、手続の流れ、過払い金額の見通しや返還時期、司法書士報酬などについて詳しくご説明します。

分からないことは、いくらでも質問していただけます。ご相談だけの場合は、これ終了です。相談は何度でも無料ですし、後で電話やメールで質問していただいても結構です。

2.委任契約

司法書士からの説明に納得し、手続を進めようと思ったときには、委任契約書を作成します。最初の相談時にそのままご依頼いただいたく場合もありますし、相談日には依頼せず、日をあらためてお越しいただくこともあります。

3.取引履歴の開示請求

委任契約をしたら、すぐに相手方(消費者金融、クレジット会社)へ、司法書士から取引履歴の開示請求をします。

4.法定利息による再計算

取引履歴が届いたら、利息制限法の利率により再計算をします。これにより、過払い金の額が分かります。ご依頼いただいてから、過払い金の額が判明するまでだいたい1ヶ月以内です。

5.過払い金返還請求

司法書士から相手方に過払い金返還請求をします。話し合いにより交渉がまとまれば和解契約書を作成し、返金を待ちます。

任意による和解が困難なときは、過払い金返還請求訴訟により解決をはかります。ただし、裁判をするかどうかは、ご依頼者の判断によりますから、勝手に裁判をすることはありません。

完済後の過払い請求の現状

平成22年秋の武富士に引き続き、先日、SFコーポレーション(旧三和ファイナンス)が倒産しました。経営が苦しい大手消費者金融は他にもあります。これらは、全て過払い請求の増加によるものです。

相手方が倒産してしまえば、過払い金の返還を受けることは難しくなります。会社更生手続き中の武富士については、過払い金の返還率は3.3%となる予定です。第2回の返還も予定しているとのことですが、あまり期待できないと思われます。

SFコーポレーション(旧三和ファイナンス)は、破産申立をしましたから更に状況は悪いと予想されます。いずれにせよ、今後も過払い請求の相手方が倒産した場合、数%の返還しか受けられない可能性が高いのは明らかでしょう。

そうであれば、仮に過払い金全額の返還を受けられないとしても、早急に過払い金の返還を受けた方が良いとも考えられます。現時点で、過払い金全額の返還を受けるのが困難な相手方が、しばらく待っているうちに経営状況が改善して、過払い金の全額をすんなり返してくるようになることは考えられません。消費者金融という業態自体が、終焉を迎えつつあるのですから、待っていても状況は悪化していくばかりのはずです。

よって、過払い請求をするならば、少しでも早いほうが良いのは間違いありません。また、完済後の過払い請求の場合は、完済から10年が経つと過払い金返還請求権が時効により消滅してしまうことも考えられます。

そして、完済後の過払い請求では、ご自身の信用情報に傷が付くことはありませんし、デメリットは一切ありません。

ところで、完済後の過払い請求をすることを、騙されて借り入れしたわけでも無く、金利についても納得していたはずなのに、後になって過払い金を返せというのはおかしいとの意見もあります。

しかし、かつてはどこの貸金業者も、広告宣伝や貸付をするにあたっては毎月の返済額ばかりを強調し、金利や総返済額には目が行かないように仕向けていたと言って良いでしょう。

また、金利について理解していたとしても、多重債務に陥ってからは、金利の安いところから借りるという選択肢はありません。高金利だとは分かっていながらも、審査に通った消費者金融等から借りるしかなかったのです。事実、消費者金融の貸出金利は、審査が甘いと思われる中小業者ほど高いものでした。

そうして苦しい思いをして返済した来たお金の一部が、過払い金となったわけです。過払い金を取り返したとしても十分に利息は払っているのですから、その過払い金を返してもらうのは正当な権利だといえます。

過払い請求によって、多くの方が過払い金の返還を受け、経済的なゆとりを取り戻しています。まずは、話を聞くだけのつもりでも、相談してみてはいかがでしょうか。

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