8月25日付け日本経済新聞の記事です。

カードローン、新規参入行が急伸 消費者金融から流入 6月残高3割増2000億円

新規参入銀行のカードローンが急速に拡大している。主要7行の6月末の残高は前年同月末に比べて3割増え、2000億円を突破した。改正貸金業法が昨年6月に完全施行され、消費者金融会社から借りにくくなった個人の需要が高まっているようだ。住宅ローン以外の運用先に悩む銀行側の売り込みも奏功している。

 主要7行はソニー銀行、住信SBIネット銀行、楽天銀行、ジャパンネット銀行、じぶん銀行、イオン銀行、セブン銀行。6月末のカードローン残高は合計2012億円となり、前年同月末比29%増加した。400億円程度にとどまっていた2009年3月末のほぼ5倍に膨らんでいる。(以上、記事から引用)

総量規制の影響により、消費者金融や、クレジットカードのキャッシングによる借入れが出来なくなった方が、総量規制の対象外である銀行ローンに流れたということです。

多少の金利の違いはあるにせよ、銀行から借りても、消費者金融から借りても、利用者にとって大差はありません。お金を借りるのに、銀行なら安心だけど、消費者金融だと不安なんてこともありません。

よって、自分のところは総量規制の対象外だからとアピールして、申込みを募るような銀行のやり方には、非常に釈然としないものがあります。今後は、銀行自らが多重債務者を生む元凶となっていくのでしょうか。

さて、借り主の側からすれば、銀行から借りる方が、消費者金融から借りるよりやっぱり安心だと考えるかもしれません。

そう思った方は、各銀行ローンの商品概要をご覧になってみてください。ここでは、新規参入の主要7銀行のローン(無担保、使途事由)を利用する際の保証会社を挙げます。なお、ソニー銀行は、新規の申込み受付を停止中で、2011年度中を目処に新しいカードローンの取り扱いを開始する予定だとのことです。

・ジャパンネット銀行 プロミス株式会社
・住信SBIネット銀行 オリックス・クレジット株式会社
・楽天銀行 楽天カード株式会社
・イオン銀行 イオンクレジットサービス株式会社
・セブン銀行 アコム株式会社
・じぶん銀行 アコム株式会社

債務者(借り主)が返済できなくなった場合、保証会社は債務者に代わって、債権者(貸し主)へ返済をします。これを代位弁済といいます。代位弁済をした保証会社は、その後は自らが債権者として、債務者へ督促を行うこととなります。

ジャパンネット銀行から借り入れをしても、支払いが滞れば、消費者金融であるプロミスから催促が来ることになるわけです。銀行の側からすれば、支払いが滞ったら保証会社から払って貰えば良いのでリスクはないということです。そして、後の取り立ては消費者金融がやってくれと。

ここまで批判的に書いてきましたが、銀行が手がけるフリーローンは実際に金利が低い場合が多いですし、一時的な資金不足を補う場合などを考えれば、全てを悪だと言い切ることもできません。

しかし、総量規制の影響を避けるために銀行が直接貸し付けをするものの、実体上は、消費者金融や無担保ローンの会社が保証会社となることで強く関わっているというわけです。

銀行だから大丈夫だろうと考える前に、このような仕組みを知っておくのも大切なことでしょう。