高島司法書士事務所

債務整理とは

債務整理とは、債務(借金)を当初の約束どおりに返済することができなくなったときに利用する手続で、主な債務整理の手段として、任意整理、個人民事再生、自己破産があります。

どの債務整理手段がベストかは、ご相談にお越しいただければ、司法書士が詳しくお話を伺ったうえでご説明します。けれども、まずはご自身で検討してみたい方は、このページを良くお読みになっていただければ、自分にはどの債務整理方法が合っているのか、お分かりいただけることと思います。また、債務整理Q&Aのページもぜひご参考にしてください。

ただし、一般の方にもわかりやすいように書いておりますので、厳密にいえば正確でない記述もあります。実際に債務整理方法を決定するにあたっては専門家(弁護士、認定司法書士)にご相談ください。

また、裁判所を利用する債務整理手続である個人民事再生、自己破産に関しては、当事務所所在地を管轄する裁判所である、千葉地方裁判所松戸支部への申立を前提にしています。裁判所によっては費用や必要書類、その他の取扱いが異なる場合があるのでご注意ください。

 1  任意整理
 2  個人民事再生
 3  自己破産

1.任意整理

債務整理をするとき、一般にまず検討するのは任意整理です。任意整理は、司法書士が、債権者(貸金業者)と直接話し合うことで、今後の債務の支払いについて和解する手続です。任意整理は、あくまでも話し合いによる債務整理ですから、裁判所を利用することはありません。

任意整理では、その後の債務の支払いについては、利息を付けないのが原則です。つまり、50万円の債務があったとして、毎月1万円ずつ支払えば50回で完済できるということです。

なお、法改正(貸金業法)により、平成22年6月18日以降は上限金利が18%(借入額が10万円以上100万円未満の場合)となったため、それ以降の取引については、任意整理をすることで借入元本が減ったり、過払い金が発生したりすることはなくなりました(貸金業法については金融庁の貸金業のキホンで解説されています)。

しかし、過去に18%を超える金利で借入れをしていた場合は、過払い金が生じていることもありますから、借入先によって次の2通りに分けて考えることになります。

2-1. 借入当初から利率が年18%以下の場合

借入先が銀行や、銀行系と呼ばれる消費者金融、一部クレジットカード会社のキャッシングでは、取引の全期間を通じて金利が18%以下となっています。また、かつては18%を超える金利で貸付をしていたクレジットカード会社や消費者金融であっても、平成20年あたりから、法律改正を先取りして金利を引き下げている場合もあります。

このように全ての取引が、年18%以下の利率で行われていた場合、任意整理をしたときに返済すべき金額は、現在の債務額そのままです。つまり、任意整理をしたからといって債務が減額されることはありません。ただし、今後の利息はかからなくなるのが原則ですから、返済が大幅に楽になる可能性はあります。

よって、このケースで任意整理できるかは、現在の債務額を支払回数で割った金額を毎月支払うことが可能であるかによって判断できます。たとえば、現在の債務額が180万円だったとして、それを3年(36回)で支払うとすれば、毎月5万円の返済となります。それができるならば、任意整理が可能だということになり、無理であれば、個人民事再生、自己破産を検討することになります。

なお、任意整理による支払い回数は最大で60回が目安です。ただし、それは法律で決まっているわけではなく、あくまでも相手方(債権者)の合意を得ることが必要ですから、取引期間が短い場合などは、もっと少ない回数や、場合によっては一括での返済を強く求められることもあり得ます。

2-2. 借入利率が年18%を超える時期があった場合

借入先が消費者金融や、クレジットカードのキャッシングの場合、借入利率が年18%を超えていた時期があることが多いです。この場合、一番初めの借入れにさかのぼって、全ての取引を利息制限法で定められている年18%(10万円未満の場合は20%、100万円を超えるときは15%)の利率で計算し直します。そうすることで、今までは利息として計算されていたのが、元本の返済に充てられるので、債務の額が減ることになるのです。

50万円の借入れをし、その後、毎月の返済と借入れを繰り返しているが、現在の債務残高も50万円だという場合、18%を超える金利での取引が6,7年以上あったとすると、上記のように再計算するだけで債務が無くなってしまったり、さらには払い過ぎになっていることもあります。なお、この払い過ぎになっている場合のことを過払いといいます。

任意整理後の利息はかからないのが原則ですから、再計算した結果の残債務額を、36回から最大で60回払いで支払うことが可能であれば任意整理が可能だということになります。たとえば、債務整理をする前の借入額が500万円あったとしても、再計算後の債務額が180万円に減ったとすれば、月々5万円を36回支払えば完済できることになります。

このように年率18%を超える高金利での借入れが長期間に渡る場合、任意整理をすることで、債務額の圧縮が期待でき、さらに任意整理後の利息がかからなくなることにより、返済が大幅に楽になるのです。

それでも、任意整理によって債務を返済することが困難な場合に検討すべきなのが、個人民事再生および自己破産です

3.個人民事再生手続

個人民事再生を利用すると、返済すべき債務の額を最大で80%減額することができます。たとえば、500万円の債務があったとして、個人民事再生によれば、100万円のみを返済すれば残りの債務を免除してもらえる可能性があるということです。

ここでいう債務とは、利息制限法に定められた金利(債務額が10万円以上100万円未満の場合は年18%)によって再計算された額を基準にします。したがって、たとえば当初の債務額が800万円あったとしても再計算によって500万円に減額されたとすれば、個人民事再生による返済すべき金額は最低100万円だということになります。

したがって、任意整理では返済が困難な場合でも、個人民事再生によれば、充分に返済可能になるケースも多いのです。

個人民事再生では、債務額が100万円以上500万円未満の場合の最低弁済額は100万円です。この返済は通常3年間で行いますので、弁済額が100万円であれば、月々約28,000円です。まずは、自分自身の収入の中からこの支払いができることが絶対条件です。それが無理なのであれば、自己破産を検討することになります。

なお、個人民事再生では、「将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがある」ことが必要ですので、自分自身が収入を得ていなければならず、たとえば専業主婦が個人民事再生を利用するのは難しいと考えられます。

次に、上記の支払いが可能だったとの前提で、任意整理と個人民事再生のどちらを選ぶべきかを考えます。

まず、債務額が100万円を少し超えている位のケースでは、申立費用や手間を考えると利用価値は低いでしょう。具体的な金額でいえば最低でも債務額が150万円を大きく上回るくらいの債務がある場合に個人民事再生を検討することになります。

ここで、個人民事再生を利用する場合にかかる費用を、当事務所にご依頼いただいて千葉地方裁判所松戸支部へ申立てをする場合についてご説明します

個人民事再生で裁判所に支払う費用は切手、印紙代込みで18万円くらい(住宅ローンの無い場合)です。個人民事再生では、個人再生委員の費用がかかるため、手続費用が高額になるのです。また、当事務所に個人民事再生をご依頼いただいた場合の司法書士報酬は26万2500円(消費税込み、住宅ローンの無い場合)です。したがって、裁判所と司法書士の費用の合計で45万円弱のお金がかかるので、最低弁済額の100万円と合わせると約145万円となりますから、それ以下の債務額で個人民事再生を利用するメリットはあまり無いと考えられます。

次に、5社から借入れをしていて合計の債務額が200万円だったケースを考えてみます。この場合の任意整理の司法書士報酬は15万7500円ですから、司法書士報酬と返済額を合計すると215万7500円となります。一方、個人民事再生では、裁判所と司法書士費用に最低弁済額を合わせた合計が約145万円ですから、70万円以上の差があることになります。よって、個人民事再生を利用する価値は充分にあると判断できます。

ただし、個人民事再生の申立をする場合、多数の書類を集めていただくことになりますし、申立書の作成にも手間がかかりますから、当事務所へは何度も足を運ぶことになります。また、個人再生委員との面談に最低一度は行く必要があります。このように時間と手間がかかることも考慮に入れたうえで判断することもあるでしょう。

なお、自己破産の申立てをしても免責を得られる可能性が低い場合、返済能力に多少の無理があっても、個人民事再生を選ぶこともあり得ます。個人民事再生では、再生計画の認可を決定を得るのに、原則として借入れの理由は問われないからです。ただし、自己破産の申立てを検討しているということは、実行可能な再生計画を立てることが困難なのが前提なのですから、自己破産によって免責許可決定を得られないだろうから個人民事再生を利用するというケースはあまり考えられません。

住宅ローンがある場合

住宅ローン支払中の不動産(土地、家屋、マンションなど)を所有していて、その不動産を維持しながら債務整理をする場合、任意整理、または個人民事再生を選択することになります。

住宅ローンは、通常は任意整理の対象となりませんので、住宅ローンについては当初の契約どおり支払っていきます。ただし、住宅金融支援機構(旧「住宅金融公庫」)では、返済期間延長など、返済方法の変更をすることも可能ですので、任意整理と併用することで支払いを楽にすることも考えられます。

一方、民事再生でも、住宅ローンについては減額されませんので、当初の契約どおり支払っていくのが原則です。ただし、民事再生では、銀行など住宅金融支援機構以外の住宅ローンについても支払方法を変更することもできます。

なお、民事再生では、所有する不動産(土地、家屋等)に住宅ローン以外の担保権(抵当権)が付いている場合には利用できないといった制限もあるので注意が必要です。また、現時点で住宅ローンの支払いが大幅に遅れている場合、支払方法の変更をすることによっても、返済が困難な場合も多いので、早めに手続に着手することが大切です。

4.自己破産

任意整理、個人民事再生によって、債務整理することが困難な場合、自己破産を選択することになります。自己破産をして免責が認められると、借金(債務)の返済義務が無くなります(税金などの非免責債権を除く)。

その代わり、所有している不動産や自動車などの高額な財産は手放すことになります。また、生命保険の解約返戻金や退職金見込額が高額(解約返戻金は20万円以上、退職金は、支給見込額を8分の1した金額が20万円以上)な場合、破産管財人が選任されることで申立費用が高額になったり、債権者への配当が行われることもあります。

借金(債務)がどれくらいあると自己破産をするべきなのか、決まった基準はありません。あくまでも、任意整理、民事再生など他の方法によっての債務整理が困難な場合に、自己破産の申立てをすることになります。

ただし、支払いが困難であれば全て自己破産をすれば良いということにはなりません。自己破産をしても、裁判所から免責の許可が出なければ、借金の支払義務は無くならないからです。免責許可を得るのが困難な主な事情としては、借入れの大部分が極端な浪費(ショッピング、飲食代、風俗店など)やギャンブルなどのための支出である場合が挙げられます。

しかしながら、借入れの内容に多少の問題があったとしても、ほとんどの場合、最終的には免責の許可を得ることができていますから、任意整理、民事再生によっては債務整理が困難なのであれば、やはり自己破産の申立てを第一に考えるべきでしょう。


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